事務所からの帰り道、いつもの赤川仮橋を渡らずに、城北大橋を渡ってみる。
遠くの灯に囲まれた川面はその影を写しながら引き込まれそうな闇を作っている。
しばし、眺めていると、川面が持つ静寂が伝わってきそうで、私のために時間を引き止めてくれている気がした。
いつまでもそこで見つめていられる錯覚を覚えたけど、おっと、いけない、稽古に遅れる。
引き止められた気持を押さえて稽古場へ急いだ。
でも途中で明日の現場に必要なものを事務所に忘れている事に気付いて、ついさっきの穏やかさとは裏腹に来た道を急いで戻るハメに陥るとは、その時は思いもしなかったんだい。