政府は、今月29日からパリで開かれるユネスコ(国連教育科学文化機関)の総会で「無形文化遺産保護条約」の採択を目ざし、各国への働きかけを強めている。建築物や遺跡など有形文化財の保護は、72年に成立した世界遺産条約のもとに登録が進められているが、今回の条約は、舞踏や工芸、口頭伝承といった無形文化を保護しようという試みだ。
同条約が成立すれば、世界遺産と同じようにリストが作られ、保護するために条約を批准した国々が分担金を支払う。アジア、アフリカなどの開発途上国の間では支持が広がっているが、欧州は無形文化財に対する関心は高くない。条約の採択には総会で3分の2の賛同が必要で、現時点での見通しはなお微妙だ。
世界遺産への登録は、石造りの建物をはじめとする有形文化財の伝統がある西欧諸国に多い。儀礼や祝祭などの無形文化財が多く存在するアフリカ諸国などからは「自分たちにも文化があるのに評価されず、保護されないのはおかしい」といった声が出ていた。
日本には能楽や人形浄瑠璃、漆工芸など無形文化財が多くあり、50年に文化財保護法が成立。93年には日本がユネスコに「無形文化財保存振興日本信託基金」を作るなど、無形文化の保護では先駆的な役割を務めてきた。
01年にユネスコが試作した無形文化遺産リストでは、日本の能楽やイタリアの人形オペラなどとともに、ボリビアのカーニバルやコートジボワールの民族音楽など19点が挙げられている。
日本の能楽など舞踏や伝統芸能などの無形文化も世界遺産に登録しようという動きです。
日本ではその他人形浄瑠璃や歌舞伎なども次回以降の推薦候補としているようです。